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論考

山古志DAOの第二段階を考察する

2023/04/172023/10/23mitsui

目次

この記事では、ローカルDAOの先駆者として注目を集める「山古志DAO」の第二段階を考察します。設立から1年が経った際に公開されたnoteより、1年間の実績や課題感、展望を解説し、その展望に対しての個人的な考察を書いていきます。ぜひ最後までご覧ください!

山古志DAO とは?

まずは改めて山古志DAOの基本情報についておさらいします。
山古志DAOとは、新潟県長岡市にある山古志地域(旧山古志村)の有志住民「山古志(やまこし)住民会議」が発行したNFT保有者が参加できるDAOです。

そのクリエイティブは錦鯉をモチーフにしているため、別名「Nishikigoi NFT」と呼ばれており、購入者は山古志村のデジタル住民としてその地域の復興に携わることができます。
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出典 https://note.com/yamakoshi1023/n/n1ae0039aa8a4

「800人+10,000人」の新しいクニづくりを掲げ、人口800人の限界集落であった山古志村の復興を目指し、設立されたプロジェクトです。そのコンセプト通り、リアル人口800人に対し、NFTを保有するデジタル村民を10,000人にすることを目標にしています。


出典https://note.com/yamakoshi1023/n/n1ae0039aa8a4

具体的な活動としては、NFTの売上の一部を活用し、山古志デジタル村民総選挙を実施し、NFTホルダーの投票によって、山古志のためのアクションプランを募集して実行しています。


その他、詳細は公式noteや取材記事をご覧ください。ここではその概要だけを簡単に紹介させていただきました。

山古志DAO設立から1年が経過

昨年2022年12月をもって、山古志DAO(Nishikigoi NFT)が設立から1年を経過し、1年間の実績が公表されました。

・デジタル村民(1,037名) ・発行量(1,470) ・フロア価格(0.22ETH) ・総取引量(82ETH) ・初期売上(41.4ETH/14,490,000円) *1ETH=35万円で計算 ・デジタル村民帰省人口(延べ約140名) (2022年12月16日現在)

なんとデジタル村民が1,000名を超え、リアルな人口800人を上回っています。そして、活動はデジタルだけにとどまらず、山古志村で行われるお祭りにデジタル村民の方がお手伝いや遊びに来たり、実際に山古志村へ移住して仕事をする人も現れたそうです。
まさに山古志DAOが中心となって、リアル村民とデジタル村民の架け橋となっています。

出典 https://note.com/yamakoshi1023/n/neb3e15deda65

また、同noteに”1年間の運営を通じて発見された課題と展望について”も触れられていたので、抜粋して紹介します。(参考:“web3 × ローカル” ー山古志村が問いかける「ローカルDAO」の未来

運営における2つの課題

①海外に住む人の参加率

元々は、日本の人口が減少している事実とNFTがグローバルな市場であることから、海外に住む人々を主なターゲットとして考えていたそうです。ただ、一部海外ホルダーの参加はあれど、まだまだその割合は低く、道半ばであることが現状です。

その理由の1つを「”限界集落の存続”や”地方創生”という切り口は、グローバルにおいてはハイコンテキストすぎた」とも分析しています。
ただ、今後も海外へ向けてのアプローチは続けていくようです。

②収益源(マネタイズモデル)

当初、NFTの二次流通市場におけるロイヤリティフィー(手数料)を収益の柱として考えていたが、結果的にOpenSeaのリスト率が2%とかなり低く、二次流通による売上があまりなかったそうです。

ただ、山古志DAOがガチホ勢によって支えられており、強力なコミュニティを作り出せている証明でもあります。
よって、悲観的に捉えてはおらず、引き続きマネタイズモデルは模索していくことが綴られていました。

展望

デジタル村民1万人を達成する

リリース時から掲げている目標である****「800人+10,000人」の新しいクニづくり****を達成するために、引き続き認知拡大やマーケティング施策を実施していきます。

ローカルDAOの集合体であるゲートウェイとなる

ここがまさに山古志DAO2.0とも呼ぶべき、山古志DAOの次なる挑戦です。端的に言えば「山古志DAOのような地域×DAOを実現したい地方自治体のサポートを行なっていく」挑戦です。

山古志DAOの誕生から1年が経ち、web3の認知や理解が進み、地方でもweb3を活用した試みが生まれ始めています。その先駆者として存在する山古志DAOにも、そのような相談が数多く寄せられるとのことで、そういったローカルDAOの集合体をサポートする集合体としてのDAOへと変化しようとしています。

出典 https://note.com/yamakoshi1023/n/neb3e15deda65
具体的な変化としては、以下の3点です。

  • 現在のNishikigoi NFTはローカルDAOの集合体をサポートするDAOのメンバーNFTへ
  • その上で山古志NFTを新しく発行し既存のNishikigoi NFTホルダーへはフリーミント
  • ローカルDAOサポートのための法人を設立し、そこで仕事を受けつつ、DAO法設立までの間はNishikigoi NFTや山古志DAOの運営もその法人で請け負う

そして、その提案に対しての投票が昨年12月に実施され、賛成多数で可決されました。

出典 https://snapshot.org/#/nishikigoi.eth/proposal/0xd31b9b275f3b0b370a909dab24e6ce83d2137bedacbbf3a57877aefe7a1b144f

山古志DAOの第二段階を考察する

さて、ここまでは山古志DAOの概要と1年間の結果と展望を解説しました。これらは公式で発表されている情報を整理して紹介した内容になります。
ここから、自分の意見も交えながらどうなっていくのかを考察してみます。
まず感じることは”山古志DAOは発信が非常に丁寧”であることです。

1年間の具体的な数値と本来なら隠したくなるような”課題感”とこれからの展望案について、丁寧に発信しています。その上で、コミュニティからの投票にかけ、最終決定はDAOに任せています。

個人的に、DAOの運営には、NFT・スマコン・インセンティブモデルの設計などハードな面も必要ですが、同時にビジョンや進捗や想いなど、ソフトな想い面の継続的な発信が非常に大切だと思っています。その発信がないと投機目的でしかNFTを購入することができず、長期的な関係を築いたり、活発なコミュニティを構築することができません。

山古志DAOのNFTのリスト率が2%未満というのは、おそらくそういった丁寧な発信活動によって、その活動を応援・共感する人が集まっているからだと思います。
その上で、ローカルDAOの集合体・ゲートウェイとして運営していく山古志DAOの次の展開に関しても非常にワクワクする取り組みだと感じています。

ただ、特定のプロジェクトDAOからDAOの集合体になるのは非常に難易度が高いと感じており、その舵取りやコミュニティマネジメントは今より難しくなるのではないかと思っています。
なぜなら、DAOの集合体になると活動が抽象的になり共感を集めるのが難しくなるからです。

例えば、”自分の出身高校の校舎建て替えのための寄付”と”日本の高校の校舎建て替えのための寄付”では、圧倒的に前者の方が応じる人間が多いはずです。具体的であるほど対象者に対しての共感は深く刺さります。一方で、抽象的の場合は対象者は広くなりますが、深い共感を集めることが難しくなります。

DAOも同じです。正直、僕はDAOとプロジェクトのゲートウェイ(≒ローンチパッド)はあまり相性がよくないと思っています。
特定の地域を応援する気持ちでDAOに参加していた所から、日本全体の地域を応援するDAOに変化すると、途端にモチベーションが低下する可能性があります。
ただ、(意見が前後して申し訳ありませんが)山古志DAOの場合はうまくワークする可能性があるのではないかとワクワクしています。

その理由は、以下の3点です。

  • ローカルDAOの先駆者としてのDAOなので、新しいもの好きが集まっている可能性が高いから新しい取り組みに参加したくて山古志DAOに参加している人が多ければ、常にローカルDAOの最先端の取り組みをし続けることがむしろ共感を集められます。
  • 丁寧な発信によって、次のアクションが山古志DAOの発展のためであることが理解できるから 数値の公開やマネタイズの苦戦と言う課題感を赤裸々に出していることで、山古志DAOが発展していくために新しい挑戦をする必要があることが、DAOメンバーに周知されているので、試行錯誤に反対し、現状維持を推奨するメンバーが少ないと予想されます。
  • Nihisikigoi NFTと山古志DAOを切り分けて運営するから 構想にある図を見ると、これまで通りの山古志DAOは運営されつつ、その上位概念としてローカルDAOのゲートウェイを作ろうとしています。これによって、山古志村だけが応援したい人はそのまま活動できます。


以上、長々と考察を書きましたが、自分自身も地方出身の人間として、ローカルDAOの先駆者としての山古志DAOの動きは非常にワクワクしています。
そして、山古志DAOの動きを参考にする場合は、表側にあるハードな設計だけでなく、裏側のソフトな発信内容やコミュニティメンバーの特性など、細かい成功要因までを分析して参考にする必要性があることも感じました。

これからも山古志DAOの活動を注目して見ていきたいと思います!

参考リンク


Nishikigoi NFTの買い方

Nishikigoi NFTの購入は以下のステップを踏むだけです。難しくありませんのでやってみましょう。

①.暗号通貨取引所に口座を開設する

暗号通貨取引所に口座を開設するのが最初のステップです。
おすすめはコインチェックです。すぐに口座が開設でき、初心者でも操作しやすいスマホアプリが用意されています。
詳しい方法はこちらの記事をご覧ください。コインチェックの口座開設の方法!超初心者でも簡単なスムーズな進め方

②.ウォレットをつくる

Metamask(メタマスク)というWeb3のお財布(ウォレット)を作ります。
ウォレットの作り方は「画像で解説!Metamask(Web3のお財布)の作り方」をご覧ください。

③.暗号通貨を取引所で購入する

次は暗号通貨の購入です。1.で作成した暗号通貨取引所で購入することができます。購入するのはまずはETH(イーサ)です。

④.暗号通貨をウォレットに送金する

先ほど購入した暗号通貨を自身のおサイフに入れましょう。

⑤.OpenSeaでアカウントを作成する

代表的なマーケットプレイスであるOpenSeaでアカウントを作成しましょう。
アカウント作成方法は「OpenSeaのアカウント開設方法」をご覧ください。

⑥.NFTを購入する

以下のページにアクセスしてNFTを購入してみましょう。
(購入方法は「画像で解説!NFTの買い方」をご覧ください。)

mitsui

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